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インフォメーション Lトリガー(格闘) Rトリガー(射撃) FT 解説 アップデート履歴 コメント インフォメーション ロール アサルト 装備 W 開発チーム WXW 型番 WXW-20A05 Lトリガー(格闘) 対AR攻撃力 B 対マグ攻撃力 B+ リロード速度 B+(5秒) 使いやすさ B+ 装填数 1 +攻撃力・その他仔細 攻撃力 耐久値 アーマー シールド エリアシールド 500 550 - - マグ Sマグ タワー コア 500 650 300 420 その他 やられ値(*1) 1000(吹き飛ばし) 強制ダウン値(*2) 1000(1発) 属性 格闘 攻撃種別 近距離格闘 トリガータイプ 1トリガー 対象 敵 リロードタイミング 弾切れ 特性 ダウン Rトリガー(射撃) 対AR攻撃力 B+ 対マグ攻撃力 A+ リロード速度 B(7.5秒/1000発) 使いやすさ B 装填数 1000 +攻撃力・その他仔細 攻撃力 耐久値 アーマー シールド エリアシールド 375 450 450 450 マグ Sマグ タワー コア 50 33 21 70 その他 連射間隔(s) 0.050 射程(m) 4200 やられ値(*3) 1000(吹き飛ばし) 強制ダウン値(*4) 600(2発) 属性 ビーム 攻撃種別 中距離射撃 トリガータイプ ホールド 対象 敵 リロードタイミング 常時 特性 ダウン FT 一つの武器で鎌による斬撃と、レーザーによる射撃が可能となっている。 連続攻撃で敵に休む暇を与えない戦い方が可能。 解説 ファイアサイスのように、Lトリガーに格闘、Rトリガーは射撃といった構成の両手武器。 Lトリガーはファイアサイスと同様の鎌攻撃だが、Rトリガーの射撃はラゼルのような照射ビームに変わっている。ちなみに、どちらも緑がかった色をしている。 両トリガーともに対ARに向けた調節がされており、火力も高いのが特徴。 Rトリガーの照射攻撃はラゼルと比べ弾数が少なく1度の攻撃時間が短い。そのため、より精密なエイム能力が求められるが、代わりに射撃開始までの溜めが短くなっている。 加えて1ヒットでも大ダメージ+吹き飛ばしとリターンも大きい。Lトリガーと併せ、積極的なダウン取りによる荒らし能力に長けた武器と言えるだろう。 その反面、扱いに小回りは利きにくい。 両トリガーともマグ狩りは効率が悪く、「格闘+停止射撃」という構成の関係上、敵ARはもちろんタワーやSマグからも反撃をもらいやすい。 総じてハイリスク・ハイリターンな武器といえるため、乱発するよりはタイミングを見極めた使用を心掛けたい。 アップデート履歴 +... (上 新しい情報) 2020/09/02 ▲(R)攻撃時の慣性移動量増加 ▲(L)リロード短縮(6s→5s) 2020/07/01 実装 (下 古い情報) ※直近2回を掲載中 コメント +... R斬り上げで750入っちゃうアサルト版ティターン。 - 名無しさん (2021-08-25 22 45 03) 名前
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モノブロスサイス改 (モノブロスサイスカイ) 攻撃力 1008 属性 火240 改心率 0% 強化、生産価格 75000z スロット 空き2つ 強化必要素材 上質な真紅の角×2 一角竜の堅甲×5 爆炎袋×3 斬れ味
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出撃! 幻影作戦遂行せよ! シエスタの祖父の形見であるゴーグルを首に下げ、背中にデルフリンガーを背負った承太郎がコルベールの研究室を訪ねた。 コルベールは新兵器の説明書を承太郎に渡すと、彼は語り出す。 本当は『火』の力を人殺しのためには使いたくないと。 その言葉の重みに、承太郎はコルベールの過去を垣間見た気がした。 「確かに今は……戦いのために使われている。 だが、生活や平和のために役立てたいという意志があれば、前進する事はできる。 恐らく長い道のりになるだろうが……その意志をあきらめずに努力すれば、いつかあんたの望む未来が来るかもしれない……」 「……そう言ってもらえると、何だか救われる気がするよ。ありがとう」 コルベールが誇らしげに微笑むと同時に研究室の戸が開いた。 「お待たせ! ジョータロー、行くわよ」 「ああ。……コルベール、おめーのおかげで助かっている。ありがとよ」 「うむ。君も気をつけたまえよ」 こうして新兵器を搭載し通信機をはずして二人乗りに改造されたゼロ戦に乗った二人は、シエスタからもらったマフラーを自分達の首に巻いてエンジンをかけた。 「ジョータロー君! ミス・ヴァリエール!」 エンジン音の中、コルベールが叫ぶ。 「死ぬなよ! 死ぬな! みっともなくたっていい! 卑怯者と呼ばれても構わない! ただ死ぬな! 絶対に死ぬなよ! 絶対に帰ってこいよ!」 承太郎は親指を立てて応えると、ゼロ戦を発進させた。 命を懸ける覚悟はある。 だが死ぬつもりは無い。 ふと、承太郎はDIOとの戦いで死んでいった仲間を思い出す。 もう二度とコルベールに会えないような、そんな気がした。 『竜母艦』という新しい観種の戦艦をトリステイン軍は建造した。 名を『ヴュセンタール号』という。 コルベールだけでなく、数多くの土系統のメイジが錬金したガソリンを積んでいる。 すなわちゼロ戦の母艦となるためだけに造られた戦艦なのだ。 虚無の担い手。 虚無の使い魔。 竜の羽衣。 このみっつがトリステイン軍でもっとも重要な武器であった。 空を埋める大艦隊にゼロ戦が近づくと、竜騎士がヴュセンタール号への案内に現れた。 誘導に従いヴュセンタール号の甲板へと着艦させた承太郎は、ルイズと共にゼロ戦を降り、甲板仕官を名乗る将校に司令部へ連れて行かれた。 そこには総司令官、参謀総長、ゲルマニア軍司令官といった軍のトップが待っていた。 総司令官の男がルイズを虚無の担い手と紹介し、アルビオン艦隊を沈めた白い閃光はルイズが唱えた虚無の魔法だと説明すると、 虚無の存在をまだ聞かされていなかった将軍達は感嘆の声を上げた。 そして軍議が再開される。虚無を交えて。 アルビオンに六万の兵を上陸させる、それが軍議の内容だったが非常に難航していた。 障害はふたつ。まずは未だ有力な敵空軍艦隊の存在。 タルブの戦いでレキシントン号他十数隻を沈めたとはいえ、アルビオン軍にはまだ四十隻程の戦列艦が残っている。 トリステイン・ゲルマニアは六十隻の戦列艦を有するが、二国混合艦隊のため指揮が困難であり、練度で勝るアルビオン艦隊相手では、数の差を引っくり返されての敗北も十分ありえるのだ。 第二に上陸地点の選定である。 アルビオン大陸に大軍を降ろせる要地はふたつしかない。 主都ロンディニウム南部に位置する空軍基地ロサイス。北部の港ダータルネス。 港湾設備の規模からいってロサイスが望ましいが、大艦隊ではすぐ気づかれ迎撃される。 連合軍に必要なのは奇襲。 敵軍に『ダータルネスに上陸する』と思わせて、ロサイスを制圧するのが望ましい。 軍議が行き詰ったところで、ある将校が虚無に任せてみてはと提案する。 陽動任務だ。エクスプロージョンとディスペルマジックしか使えないルイズだが、デルフリンガーが小声でした助言のためにルイズは承諾した。 「必要な時が来たら必要な魔法の詠唱が読めるさね。 ディスペルマジックの時がいい例だろ? 多分大丈夫じゃねーかな」 というアドバイス通り、ルイズは始祖の祈祷書を開いてみる事にした。 といっても部屋に着いてからだ。将軍達以外の前で虚無の存在を明らかにはできない。 廊下を歩いていると、目つきの悪い貴族五~六人程度が承太郎達を待ち構えていた。 歳は承太郎、ルイズとほとんど差が無いように見える。 しかし方や老け顔、方やロリ顔。同年代だと思っているのは虚無側だけだった。 一行は同じ革の帽子と青い上衣を着ていて、何らかの部隊の集まりだと推測できる。 その中の一人が承太郎に声をかけた。 「おい、お前。ちょっと来い」 これは新人いびりというやつだろうか? だとしたら社会のルールというものを教え込んでやった方がいいだろう。 承太郎は無言で彼等の後をついていった。ルイズも心配そうに続く。 連れてこられたのはゼロ戦を係留している甲板だった。 一行のリーダー格と思われる少年は、ゼロ戦を指して恥ずかしそうに問いかける。 「これは、生き物か?」 「そうじゃないなら何なんだ? 説明しろ」 もう一人が真顔で訊ねてきた。 同じ艦に乗る者同士とはいえ、どこまで答えていいものか。 「いや……生き物じゃあねーぜ」 とりあえず、それくらいなら教えても構わないだろうと答えてみる。 すると一番太った少年がガッツポーズを取った。 「ほらみろ! 僕の言った通りじゃないか! ほら一エキュー寄越せ!」 で、他の連中はポケットからエキュー金貨を一枚出して太っちょに渡す。 「驚かせちゃってゴメンね」 「実は僕達、賭けをしていたんだよ。これが何なのかって」 「一風変わった竜じゃないかと思ったんだけどな~……。 この艦、竜母艦なんて艦種がつけられてるしさ」 「こんな鉄の塊の竜がいてたまるかよ!」 「いるかもしれないじゃん! 世界は広いんだから!」 言い合いを始める彼等を見て、承太郎は学校の休み時間にダベってるクラスメイトを思い出した。 自分はあまり話に加わらなかったが、いつもくだらねー事で盛り上がっていた。 「やれやれ、こいつは飛行機っていう乗り物だぜ」 気が抜けた承太郎は、飛行機の簡単な説明をしてやる。 皆聞き入ったが、コルベールと違い飛行機の原理を理解できる者はいなかった。 彼等の正体は竜騎士で、本来見習いなのだが戦争という事で駆り出されたそうだ。 案内された竜舎にはシルフィードより二回りも大きい大人の風竜がいた。 竜騎士になる大変さや、竜の性質などを彼等は得意げに語る。 「使い魔として契約していない竜は気難しく、乗りこなすのが一番難しい幻獣なんだ。 乗り手の腕、魔力、頭のよさまで見抜いて乗り手を選ぶんだぜ」 試しにまたがってみるかと言われたので、承太郎は挑戦する事に。 「俺が無事乗れるかどうか賭けてみな」 と言ったら全員『乗れない』に賭けたので、外れたら全額承太郎がもらう約束をする。 またがる前に風竜にガン飛ばしてやったら、風竜は承太郎を乗せてくれた。 竜騎士隊の少年達は悲鳴を上げるほど驚いて、承太郎に一エキューずつ払った。 承太郎が乗れたんなら自分も、とルイズも名乗り出た。 太っちょの少年は「彼が乗れたのなら、もしかしたら彼女も」と『乗れる』に賭ける。 が、他の全員は『乗れない』に賭けた。承太郎も『乗れない』に賭けた。 承太郎の賭けに激怒したルイズは、乱暴に竜にまたがろうとして、思いっきり振り落とされて承太郎にキャッチされた。 爆笑が巻き起こり、ルイズは顔を真っ赤にしてわめき散らす。 そんなこんなで割りと平和な一日をすごすのだった。 「って、マズイ。全然思いつかないし、始祖の祈祷書も真っ白のまま」 夜。自室にてルイズは頭を抱えていた。 虚無のルイズは陽動作戦をせねばならない。方法は自分で何とかしなくてはならない。 で、何ともならない。 「どどど、どうしよう? 何かいいアイディアない?」 唯一相談できる承太郎の部屋にやって来てそう訊ねると、承太郎はしばし黙考する。 「陽動というからには……少数の部隊でダータルネスに奇襲をかけ、かつ小隊を大隊と誤認させるのがベターか……」 「小隊を大隊と誤認……う~ん。でも人数数えられたらすぐバレるわよね」 「雲の中に艦隊が隠れていると思わせるとか、何か方法はあるだろう」 「雲……雲……。当日晴れてたらどうしよう?」 「知るか」 「うぅ……誤認させる、誤認、誤認……。ねえ、ジョータロー。 あんたはそういう経験無いの? ありもしないものを、あると勘違いした事」 「……砂漠を旅していた時、ポルナレフの奴がオアシスを発見して車を向けたが、 実は蜃気楼だった……というような事はあったな」 「蜃気楼? ……それよ! 蜃気楼を見せればいいのよ! ルイズは始祖の祈祷書を開きページをめくった。 蜃気楼という単語に集中して白紙のページを一枚一枚確認する。 しばらくして、一枚のページが光り出し文字が浮かび上がる。 虚無の魔法、初歩の初歩。 『イリュージョン』 翌日その作戦を軍議で発案すると、満場一致で賛成された。 『幻影作戦』と名づけられたそれを遂行すべく、ルイズと承太郎はゼロ戦に乗る。 「虚無を出撃させる! 作戦目標ダータルネス! 仔細は任す。 第二竜騎士中隊は全騎をもってこれを護衛せよ! 復唱!」 「虚無出撃! 作戦目標はダータルネス! 仔細自由! 第二竜騎士中隊は全騎はこれを護衛!」 命令を受けた第二竜騎士中隊は、先日承太郎と賭けをした若き竜騎士達だった。 彼等は風竜に騎乗すると、ゼロ戦を先導するように飛翔した。 続いて、操縦席後部にある通信機を外して造った座席にルイズを乗せた承太郎が、ゼロ戦の操縦桿を握り滑走路を走らせる。 飛行機の原理を知らない風のメイジ達が、上官からの指令通り風の魔法を前方から吹かせ、プロペラを力強く回転させ滑走距離を縮め、甲板から車輪を浮かせて飛び上がる。 その光景にヴュセンタール号の乗員達は歓声を上げた。 風のアルビオン。 承太郎にとっては一日にも満たない時間をすごした、しかし忘れられぬ国。 戦友ウェールズの故郷。ここでウェールズの仇を討つ。 「待ってやがれ……クロムウェル!」 一機と十騎の混成部隊、ゼロ戦と竜騎士隊が大空を行く。 目指すは風のアルビオンが港ダータルネス! 幻影作戦遂行せよ!
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岩と森の国ものがたり 外伝2 スカボロー・フェア ♪Are you going to Scarborough Fair Parsley sage rosemary and thyme Remember me to one who lives there She once was a true love of mine... ライファス宮殿の屋上。 リュナ・ルークスは二つの月が照らす空の下でひとり歌っていた。 サイモン&ガーファンクルのスカボロー・フェア。異世界の住人が知るはずのない歌を、リュナはよどみなく静かに歌う。 「誰かと思えば、ルークス卿でしたか」 いつからそこにいたのか、背後からナオトの声がした。 「てっきり、ヒトが歌ってるのだとばかり思いました」 その言葉に、振り向いて笑う。 「ヒトの歌らしいね」 「ええ。だから、ルークス卿が歌ってるのが意外で」 「そんなに意外だったかい?」 そう言って、悪戯っぽく笑う。 「あ、いえ……ルークス卿がヒト文化に詳しいのは知っていましたが」 その言葉に、リュナは悪戯っぽい微笑を浮かべたまま言った。 「じゃあ、この曲が少なくとも100年以上昔からこの国で歌われてるって言えばどうだい?」 「え!?」 さすがに驚いたらしい。 「それ、本当ですか?」 「本当だよ。僕がこの歌を覚えたのはエグゼクターズの訓練生時代だ。同僚を任務に送り出す時に、残った奴等が歌ってた。物悲しいメロディーがそういう場に合ってたんだろう」 「でも、どうして……」 「たぶん、ずっと昔この国に落ちてきたヒトが歌った曲が歌い継がれてきたんだろう。……面白いことに、僕らは歌詞の意味を知らずに、呪文みたいに歌っていたからね」 「え?」 リュナがそう言って笑うと、またナオトが驚く。 「歌詞の意味知らずに歌ってたんですか?」 「だって、僕らはヒトの世界の“エイゴ”なんてものは知らないから。『あーゆぅごいんとぅすかーぼろうふぇあぁ』がどんな意味か、僕だって教えてもらったのはほんの数年前さ」 「そ、それはまあそうかもしれませんけど……」 もっとも、ナオトも小学校の児童バンド部で“サウンド・オブ・サイレンス”を習った時は歌詞の意味を知らずに歌っていたから似たようなものかもしれない。 「けど、それはそれで一つの意味のある出来事なんじゃないかって思うんだ」 そう言いながら、リュナが空を見上げた。 「何百年前に落ちてきた一人のヒトが歌った歌が、長い歴史を越えて、今こうやって異世界の僕たちに歌い継がれているということ。きっと何かを示唆しているんだと思う」 「何か……ですか」 「うん。ヒトにはこの世界に何かを残す力があるし、僕たちにだって、それを受け入れる程度の器はあるんだと……そう思う」 「…………」 ナオトは、時々思う。 リュナは、あまりにも楽観的過ぎるのではないかと。 そんなに世の中は、この世界は甘くないのにと言いたくなるときもある。 それでも、なぜか。 本人を前にするとそれが言えなくなるのが不思議だ。 「武器、技術、知識……そういうものじゃなく、歌というものが長いときを越えて生き残るという現実が、ここにあるんだ」 そう口にするリュナの表情は、未来に対してなんの疑念も抱いていないように見える。 なぜそんな表情が出来るのか、ナオトにはまだわからない。 「生活の役にも立たない、金も生まない富も生まない、何の力にもならないものが、それでも長いときを越えて生き残るという現実があるということ。……それは、いま僕の生きる拠り所になってる」 「生きる……拠り所?」 「僕たちの未来、僕たちと言う種族。まんざらそう捨てたものじゃない、ってね」 「…………」 綿のシャツを作れと伝えてほしい パセリ、セージ、ローズマリー、タイム 縫い目と針仕事をなしにして そうすれば彼女は私の恋人になるだろう 月を見上げながら、リュナはそう続けた。 「落ちてきたヒトが異世界に残した恋人を思って歌ったんじゃないかって、そう教えてくれた。……僕にこの歌の意味を教えてくれたヒトはね」 「……そう言われれば」 「とんでもない無理難題だけど、それを乗り越えてまで会いたい、会わせてほしいって思って歌ったんじゃないかってね」 「……縫い目のないシャツ、水のない井戸で洗濯、海と海岸の狭間の土地……」 ナオトが、記憶を思い出すように言葉を出す。 「うん。無茶なことだけど。……それくらい、別れた恋人との距離は遠い。そんな境遇だからこの歌を歌ったんじゃないかって」 「…………」 「引き裂かれた恋人、引き裂かれた家族。そういう形で、突然みんなこの世界へとやってくる。そして出会える可能性はゼロに近い。……こんな歌を歌いたくもなるんだろう」 「……ですね」 「僕にこの歌の意味を教えてくれたヒトはその後、どうやら奇跡的に恋人と出会えたらしい。だけど、そうじゃないヒトの方が遙かに多い」 「……はい」 ナオトも同じだ。 あまりにも多くのものを一瞬で奪われ、いまここにいる。 「それでも、ね」 自らの境遇に重ねたのか、少し悲しげなナオトに、リュナは言う。 「それでも、そうして歌った歌は、今こうして残っているという現実もある」 「それが……」 言っちゃいけないと思いつつ、ナオトは言った。 「それが何だと言うんですか。それが、そんなことが何の意味があるというんですか」 「……何の意味があると思う?」 「それがわからないから言ってるんです。僕には、全く無意味だとしか思えない」 「……そうじゃない、と言ったらどうする?」 「何故だって聞きます。何の意味があるって言うのか、ちゃんと答えてもらいます」 少し言葉が苛立っているのが自分でもわかる。 「じゃあね、この歌……」 リュナは、変わらない少し穏やかな微笑をうかべたまま尋ねる。 「この歌は『できっこない無理難題を嘆く歌』なんだろうか」 「…………」 何を尋ねたいのかわからず、ナオトが黙り込む。 「この歌、未来形を使っている。無理難題を乗り越えた先に本当の恋人になれるだろう、ってことは」 「……出来ないことをできるようになる、とでも言いたいんですか?」 やや懐疑的にナオトが聞く。 「正解。もしこのむちゃくちゃな歌詞が、実はとんでもなく肯定的な決意で歌ったラブ・ソングだとしたらどうだい?」 「……そんなの、言うのは簡単だけど」 「できっこない?」 「……どうやったら出来るって言うんですか」 「まだわからないさ。けど、できないと決め付けるのもまだ早いだろう。たった百年だよ」 「たった、って……」 「たとえば、縫い目も針仕事もない綿のシャツは、すでにこの世界には存在している。綿花の繊維を全部編むだけで一枚のシャツにする技術は、この歌が生まれた頃、ヒトの世界にはなかった」 魔洸技術と伝統技術の融合により生まれた、縫い目のないシャツ。破れにくさが重宝され、北方販路の主力製品になっている。 「……枯れて雨も降らない井戸でも、シュバルツカッツェにはドライクリーニング、エアクリーニングという技術がある。人類の英知は、不可能を可能にしてきた」 「それとこれとは……」 「違わないよ。ナオト君の世界の話で例えれば、たとえば遙か以前、ファラオが君臨していた頃のエジプトで民主主義なんてものを想像できただろうか。できたとして、それが実現すると思えただろうか」 「……」 「未来を信じなきゃ何も始まらない。少々楽観的なぐらいでちょうど良いんじゃないかって僕は思う」 「……俺には、楽観的過ぎるように思えます」 あえて、そう口にしてみる。 「それくらいでなきゃ、生きて行けない世界があるんだよ」 「……え?」 ナオトの言葉に、ほんの少し、陰りを含んだ声でそう答えるリュナに、ナオトが尋ねる。 「そんな世界……ルークス卿は知ってるんですか」 「特殊部隊ってのはそういう世界さ。よく感情を捨てなきゃ生きていけないって言うけど、大体、人間として生まれたのにそう簡単に感情を捨てられるかって」 「…………」 「だとしたら、いつかきっと来るだろう、もう少しマシな未来を信じぬくしかない。そうでなきゃ、今すぐにでも死にたくなる。やってらんねーよってね。最期には訓練教官射殺して自分も自殺……なんて、そんな最期は嫌過ぎるだろ」 ナオトには実感がない世界。リュナの浮かべる微笑は、何を見てきた上での微笑なのか、まだよくわからない。 「人間って、何かを信じたい生き物だから。嘘でもいいから、信じるものさえあれば何とかなるけど、それがないと本当に脆い。……僕たちばかりじゃない。信じるものを失って、すがりつくものを見つけられなくて、そのまま壊れたヒトを何人も見てきた」 「…………」 「話を元に戻すとね」 「……あ、はい」 「何百年前のヒトが残した歌が、こうやって受け継がれてきた。それは、たとえ名も残っていなくても一人のヒトがこの世界で生きたという痕跡だ」 「はい」 「それは、ヒトの足跡がこの世界に刻まれている確かな証だ。足跡が残るなら、長い年月をかければそれが少しづつ積み重なるだろう。そしてやがて、この世界にヒトがいることが当たり前になる時代が来る」 「…………」 「そうなれば、時代は変わる。当たり前に存在しているならば、それは当たり前の権利を有するようになるはずだ。ヒトが異世界の住人じゃなくなったとき、やっとヒトは人間としてのスタートラインに立てる。……そこまでの長い準備期間の途中で諦めたら、あまりにも勿体無い」 「気が遠くなるような未来の話ですね。……俺が生きてるうちには無理だ」 「ほら、またそうやってすぐ諦める」 「……だって」 「この歌、何百年も前のヒトからのメッセージが時間を越えて僕らに受け継がれたんだよ。やってやろうって思わないかい」 「やってやろう、って……」 「不可能を可能にするなんて、かっこいいじゃないか。何百年も前のヒトから突きつけられた無理難題。だったらやってやろうじゃないかって、そう思うはずだ」 「でも、どうやって……」 「ナオト君は自分の足跡を残し続けていけばいい。僕は、この国を動かすための力を手に入れる。……手段は選ばないけどね」 そう言って、また悪戯っぽい微笑を見せる。 「この歌の意味を教えてもらったとき、ね」 「はい」 「若気の至りで『だったら僕が見つける』って言っちまったんだ」 「はい?」 「1エーカーの土地、さ。海岸と砂の間の」 「ああ、その部分」 「向こうはとっくに忘れてるだろうけど、言っちまったことは言っちまったことだからね。何とか、無理難題を僕の生きてるうちに片付けたいなと思ってる」 「できるんですか」 「わからないけど、何とかやらなきゃね。約束を破るのは性に合わない」 そして、また静かにリュナは歌いはじめた。 If you say that you can t then I shall reply Parsley sage rosemary and thyme Oh Let me know that at least you will try Or you ll never be a true love of mine...
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前ページ次ページ毒の爪の使い魔 ガレンビートルとガレンヴェスパの群れと砲撃の嵐の中、ジャンガとタバサを乗せたシルフィードは飛んだ。 目指すは艦隊の最奥に一隻だけ浮かぶ、他よりも一際大きな敵艦だ。 その行く手を阻むかのように、艦隊から砲撃が加えられ、無数の小型メカが体当たりを仕掛けてきた。 シルフィードは高速で飛行しながら、巧みにそれらの攻撃をかわしていく。 「キキキ、やるじゃねェか! その調子で突っ切りな!」 風で帽子が飛ばないように押さえながら、ジャンガが声を上げる。 かなりの高速飛行の為、カッターも上手く使えない。 振り落とされないようにしがみ付いているのが精一杯なのだ。 普段乗りなれているタバサも、かつて無い高速飛行と激しい回避運動に、しがみ付く事に必死だった。 もっとも”頭”を制圧する為にも精神力は無駄に出来ない。 よしんば反撃できたとしても、結局はしがみ付くしかなかっただろう。 数分後…、シルフィードは艦隊を突っ切る事に成功した。 目の前には無防備で晒される”頭”の姿が在った。シルフィードがやや速度を落とす。 ジャンガとタバサは立ち上がり、敵艦に飛び降りるべくタイミングを計る。 シルフィードが敵艦の真上へと到達した。ジャンガとタバサは頷き合い、シルフィードに声を掛ける。 「あのクソガキのお守りは任せたゼ」 「後はお願い」 「了解なのね。お姉さま達も頑張るのね、きゅい!」 その言葉を聞きながら、二人はシルフィードの背から飛び降りた。 二人が無事に甲板に下りたのを確認し、シルフィードは急いで味方の艦隊へと引き返した。 敵艦へと降り立ったジャンガとタバサは辺りを注意深く見回す。 …特に敵の姿は見当たらない。艦内に居るのだろうか? いや、それ以前にジャンガには気がかりな事があった。 「オイ…」 「何?」 ジャンガに声を掛けられたタバサが静かに返す。 「変だと思わなかったか?」 「何が?」 「…これだけの規模だってのによ、この艦隊…殆ど”無人”だったじゃネェか」 ジャンガは怪訝な表情で言った。 ――そうなのだ。この艦に到着するまで多くの戦艦とすれ違ったが、 それらに乗っていたのはガーゴイルらしきものや、ムゥの様な幻獣ばかり。人の姿は一切見かけなかった。 「ミョズニトニルンやガーレンの奴が向こうに居るからな。それらが使われるのは変じゃネェ。 だが…、全てをそれらに任せているってのは、どうにも腑に落ちないゼ」 培われた勘や経験などは人間の方が圧倒的に高いはずだ。 前哨戦ならばともかく、こんな水際付近で行う戦いにあんな連中を送り込むなど、どう考えてもおかしい。 事実、最初は不意打ちで苦戦していた連合軍も戦いの錬度で勝っている為か、 今は五分五分位にまで押し戻している様子だ。 これがちゃんとした人間ならば押し切っていたはずなのだが…。 「…今はどうでもいいか」 考えている時間は無い。今はとりあえず、目的を果たす事だけを考えればいい。 ”頭”を探すべく艦内に潜入しようと歩を進め―― ビュンッ! 風を切る音がして、何かが飛んできた。 ジャンガとタバサは同時にその場を飛び退く。何かが甲板に突き刺さる音がした。 離れた場所に降り立った二人は一瞬前まで自分達が居た場所を見る。 そこには巨大な”矢”が突き刺さっていた。 それを見て、タバサは一瞬トロール鬼でも居るのかと思った。…だが、それは違っていた。 矢の飛んで来た方向へと目を向けると、そこには得体の知れない物が立っていた。 大きさは約五メイルほど、左手はカギ爪の生えた手、右手はクロスボウとなっており、 全体的には箱を積み重ねたような姿をしている、それは実に奇怪な物だった。 ガーゴイルかゴーレムだろうか? と考えた――いや、そうとしか考えられない。 あんな姿の幻獣などハルケギニアには存在しない。 ――”存在しない”…そう思ってタバサはジャンガを振り返る。 「…”あれ”も?」 タバサの言葉にジャンガは苦笑いを浮かべてみせた。 「ムゥンズ遺跡のロボットか…、随分とまた厄介な物を引っ張り出しやがるゼ」 『ボックスメアン』――ムゥンズ遺跡の最奥に配置されていた戦闘ロボット。 箱を積み重ねたかのようなユーモラスな外見が特徴だが、その戦闘力は並みの幻獣よりも高い。 有線式のロケットパンチとなっている左手や、同じく有線式で伸ばす事が出来る右手の巨大なクロスボウ、 頑丈な箱状の胴体を飛ばして攻撃する『ボックスメラン』などの武器を持つ。 無数の機体が存在し、数で相手を圧倒する戦術も得意とする。 自立判断が出来るほど優秀な人工知能を持ち、その全てが一台のマスターコンピューターによって操られている。 「あれの厄介なところは数だな。…この船にどれだけの数がいるか解らネェがよ…」 『シンニュウシャ カクニン、タダチニ ハイジョスル』 ボックスメアンは機械音を響かせながら動き出す。 『ムダナ テイコウハ ヤメロ。ムダジャナイ テイコウモ ヤメロ』 「どうする?」 タバサが尋ねると、ジャンガは笑う。 「なら、お前はどうするんだ?」 「抵抗する」 「俺もだ」 言うが早いか…、二人はボックスメアンへと飛び掛った。 まずはジャンガが仕掛けた。毒の爪を振り回し、ボックスメアンに一撃を食らわせる。 硬い物がぶつかり合う音が響く。亀裂が走ったが、一撃破壊には至らない。 舌打ちするジャンガにボックメアンは左手を伸ばす。 それを見て、すぐさまその場を飛び退く。勢い良く突き出された左手は甲板を打ち砕いた。 そこへタバサが『ウィンディ・アイシクル』を放つ。 無数の氷の矢がボックスメアンを襲ったが、それは尽く跳ね返されてしまった。 続けざまに『ジャベリン』を唱える。 巨大な氷の槍が生まれ、相手を串刺しにせんと飛ぶ。ジャベリンはボックスメアンを捕らえる。 だが、頑丈な装甲を貫通する事は出来ず、粉々に砕け散ってしまった。 それを見て、タバサは再度呪文を唱えようとしたが、突然衝撃が体に走った。 何かが彼女に体当たりをしてきたのだ。 短く呻き、タバサは床に倒れこむ。その彼女に黒い何かが大量に群がってきた。 それは瞳の無い黄色い目をした小人のような生き物だった。 『ウニョ』――ボックスメアンの影から現れる、謎の生命体。 黒い小人のような姿をしており、敵に向かって捨て身の体当たりを仕掛ける。 たった一撃で消えてしまうほど脆弱だが、次から次へと際限無く現れる厄介な存在である。 タバサはウニョを蹴散らそうと、杖を振り回す。 一振りするだけでウニョ達は簡単に跳ね飛ばされて消えていく。 だが、ウニョ達は吹き飛ばされる量を上回る数で、休む事無くタバサに群がる。 ウニョの排除に手間取り、身動きが取れない彼女にボックメアンは顔を向ける。 その両目が徐々に輝きを増していく。 辺りを照らす光に気が付き、タバサは顔を上げた。 輝きが頂点に達し―― 「オラァッ!」 ジャンガがボックスメアンの頭部を蹴り飛ばす。衝撃で顔を背ける形になる。 直後、ボックメアンの両目から眩い輝きのビームが放たれた。 狙いの逸れたビームは船体の一部を破壊する。 ジャンガは四体に分身し、ボックスメアンの腹部にダース単位で蹴りを叩き込んだ。 止めの一撃を放つと、ボックメアンは吹き飛び、壁を粉砕した。 「案の定、強化済みか」 今のビームのような武器は本来無かったはずだ。ガーレンによって改造されているのだろう。 装甲の厚さや他の武器の威力などにも梃入れが感じられた。 ジャンガがボックスメアンの相手をしたお陰で、ウニョの増援が無くなり、タバサは漸く自由の身となった。 「助かった、ありがとう」 立ち上がったタバサはお礼を述べる。 「礼言う暇があったら反省しとけ。足手纏いは要らネェからな?」 振り向きもせずにそれだけ言う。 冷たい言葉…とはタバサは思わなかった。 本当に必要が無いのなら最初から自分一人で来ればいい。 なのに、自分を連れて来たのは認め、信頼している証拠。 その信頼を裏切り、足手纏いになりかけたのだから、今のような事を言われても仕方ない。 自分の不甲斐無さを恥ながら、タバサは杖を握り締めた。 瓦礫を跳ね除けながらボックスメアンが立ち上がる。 左手と右手を伸ばし、箱状の胴体をブーメランの様に飛ばす。 ジャンガとタバサは同時に駆けだした。 ありとあらゆる角度から矢を飛ばす右手、鋭い爪を振り翳しながら伸びる左手、風を纏わり付かせながら迫る胴体。 それらをジャンガは分身で同時に撃破する。 しかし、ボックスメアンは冷静に対応し、両目から先程のビームを放とうと両目を輝かせる。 だが、その両目を『ブレイド』を掛けたタバサの杖がなぎ払う。 横一文字に亀裂が走り、ショートして火花が散る。 タバサはボックメアンの手足の付いた一番下の胴体を蹴り、その場から飛び退いた。 ――直後、響き渡る砲撃音。 ボックスメアンの胴体が吹き飛び、巻き起こった巨大な爆風は頭部をも飲み込んだ。 タバサは音の方を振り返る。そこにはジャンガがハンドライフルを手にして立っていた。銃口からは硝煙が立ち上っている。 おそらく、タルブでヨルムンガントを破壊した例のやつだ。 完全にボックスメアンが消滅したのを確認し、ジャンガはハンドライフルを懐にしまう。 「よし、邪魔者は消えた。とっとと指揮官様を探すぞ」 「解ってる」 タバサは頷く。――その直後だった、凄まじい爆発音が背後から響き渡ったのは。 振り返ると、連合軍と戦闘を行っていた艦隊が一隻残らず炎に包まれて落下していた。 撃沈されたとは思えない…、そんな事が出来るぐらいならばとっくにそうしている。 では、何が起こったのだろうか? すると、黄色い卵の様な形をした物体が、空から悩んでいる二人の元へと舞い降りてきたのだ。 それはガーゴイルのようだった。あまり見ない容姿の物だったが、タバサはそれに見覚えがあった。 そう…、確か学院での事件の翌日に自分の部屋へとメッセージを届けた物だ。『ンガポコ』とか言ったか? ンガポコはジャンガの目の高さに静止すると、喋り出した。 「ンガ、ジャンガさん、シャルロットさんにメッセージがあります。ンガ」 「ホゥ?」 メッセージの届け主が誰かなど考える必要は無い。 このタイミングで自分達にメッセージを届けるような相手は一人しか思いつかない。 『ようこそ、我がアルビオンへ』 聞こえてきた声は予想通りの相手の物だった。 「ガーレン…」 タニアリージュ・ロワイヤル座での事が脳裏を過ぎり、タバサは苦々しい表情で呟く。 メッセージは続けられる。 『どうやら無人駆逐艦隊の指揮官であるボックスメアンを倒したようだな。 何故解るか…などとは聞かないでくれたまえ。反応が消えたのだから解るのは当然だ。 とは言え、見事だ…賞賛に値する。その褒美と言っては何だが、アルビオンへと下りる事を許可しよう』 ジャンガとタバサは顔を見合わせる。 どう言う事だ? と言葉の意味が理解出来ていない事を、互いの表情が物語っている。 『なに…罠などではない。と、言ったところで信じてはもらえんだろうがな…。 …艦隊の自爆を見たとは思うが、それは我輩がやったのだ。勝者は君たちなのだから、敗者は潔く下がるものだ。 それでも信じられぬと言うのであれば…そうだな、具体的な褒美として軍港ロサイスを君達に提供しよう』 「何?」 『君達が侵攻の足掛かりとして欲しているのは設備も充実しているロサイスだろう? だから、それを提供するというのだ。嘘ではない証拠としてロサイス付近の部隊は引き上げさせる。 代わりにダータルネスの防備を固めるがな。後は諸君等で確認し、判断したまえ』 二人は黙ってメッセージに耳を傾ける。 『…そうそう、忘れるところだった。シャルロット君…、今一度我輩達に協力する気は無いかね?』 タバサの眉が、ピクリと動く。…今更こいつは何を言うんだ? 『我輩はメイジとしての君の優秀な才能が惜しい…、このまま手放すのは勿体無いと思うのだ。 今ならばまだ便宜を図れるのだが…』 ふざけた事を言う。今更、協力などする訳が無いだろう? 『「母さまを助けた後…、あなた達の首を貰う」か』 聞き覚えのある台詞にタバサは目を見開く。 『んー、君の家族を…母を思う気持ち、我輩も非常に心を打たれた』 今しがたの台詞…、自分がジョゼフとジョーカーに向かって目の前のガーゴイルに持たせたメッセージだ。 「…あの時の?」 『父は亡くなり、母は未だ心を病んだまま……それだけではないが、これ以上”自分の所為”で家族を不幸にしたくはないだろう?』 ギリギリと音がする位、タバサは強く歯を噛み締める。 ふざけるな…、自分がいつ家族を不幸にしたというのだ? 『正しい判断を下すよう、心から祈っているよ…。これ以上”自分の身の安全の為”に家族を犠牲にしたく無いならね…』 ブチッ、とタバサの中で何かが切れた。 「伝言しゅ――ンガぁぁぁーーーーーーーッッッ!!!?」 ンガポコの台詞は最後まで続かなかった。 タバサの杖の痛烈な一撃が、ンガポコへと叩き込まれたのだ。 派手に吹き飛ばされたンガポコは、床を跳ねながら壁にぶち当たった。 荒くなった呼吸を整えながら、タバサは杖を握っていない方の拳を強く握り締めた。 「…許せない」 憎悪の籠もった声で小さく呟く。 ――今の境遇を自分が望んでいたとでも言うのか? ――自分はそんな事は望んでいない。 ――不幸は全て伯父や伯父を支持する者の所為だ。 ――自分は親を…家族を犠牲にしたりはしない。 激しい怒りに身体を振るわせるタバサをジャンガは静かに見ていた。 「怒るのは勝手だがよ…、冷静さ欠いてると死ぬだけだゼ?」 「…解ってる」 静かに、大きく深呼吸をし、タバサは気を落ち着かせた。 それを見て、ジャンガは床に転がるンガポコへと歩み寄る。 ンガポコを拾い上げる彼を見て、タバサは声を掛ける。 「どうする気?」 「タバサ嬢ちゃんよ…、シルフィードはどうしてる? 使い魔と主人は視界を共有できるんだからよ、確認は簡単だろ」 「ちょっと待って」 タバサは目を閉じた。 暫くそのままの状態でいたが、やがて静かに目を開ける。 「まだ船の上にいる」 「そうか、そりゃ好都合だ」 ジャンガはンガポコを乱暴に振り回し、無理矢理覚醒させる。 「ン、ンガ…」 「ヨォ、伝言ロボ。パシリになってもらうゼ」 「ンガ?」 ンガポゴに届けさせたメッセージによってやって来たシルフィードに乗り、ジャンガとタバサは艦隊へと帰艦。 ルイズ達に事の次第を説明し、その後『ヴュセンタール』号の総司令部に居るド・ポワチエら首脳部の人間にも同じ事を伝えた。 無論、首脳部は当然として、ルイズ達も最初は信じなかった。 あれほどの艦隊が一隻残らず自爆し、残った旗艦もあっさりと落とされた。 加えて、わざわざ設備の整った軍港ロサイスを明け渡すと言う。 出来すぎてるといえば出来すぎている…、信じられないのも無理は無い。 だが、百聞は一見にしかず。実際に見て確かめた方が早いと、偵察部隊が出される事となった。 その結果―― 「ロサイス付近はも抜けのから…か」 第一竜騎士中隊の一騎士からの報告を受け取ったド・ポワチエは呟く。 偵察部隊が到着した時、ロサイス付近のアルビオン軍は既に撤退した後だったのだと言う。 それも、一隻の戦艦、一人の兵も残さない徹底したもので、まさに”来てください”と言わんばかりだったそうだ。 「ダータルネスの方の報告はまだか?」 ダータルネスの方は第三竜騎士中隊が担当のはずだ。 その時、唐突に扉が開いた。 「そんなに慌てなくても、今報告に参りました」 とても綺麗な美声でそんな事を言いながら、部屋へと入って来たのは長身で金髪の少年だった。 その少年を見たルイズは目を奪われた。 とんでもない美形なのだ…、一瞬見ただけでは女性と間違えてしまうかもしれないほどの。 その少年の目は左右で色が違っている。光の加減などではなく、本当に色が違う…月目だった。 「君は確か…第三竜騎士中隊の隊長だったか?」 「ジュリオ・チェザーレです、ド・ポワチエ将軍」 ジュリオと名乗った少年は、騎士の様な格好とは裏腹の優雅な仕草で一礼をする。 ド・ポワチエは怪訝な表情でジュリオを見つめる。 「何故直接ここに? 第二竜騎士大隊隊長のギンヌメール伯爵には報告をしておらんのか?」 「いえ、勿論ギンヌメール伯爵には報告済みです。ですが…」 そこで言葉を切り、ジュリオはゆっくりと部屋の中を見回す。 そしてその視線がジャンガに向けられる。 「きみが噂の使い魔のジャンガリアンくんだね?」 直後、その胸倉をジャンガは掴み上げる。 「…舐めてんのかテメェ? ジャンガ…『毒の爪のジャンガ』様だ! よく覚えとけ、ガキ!」 純粋な殺気を叩きつけるジャンガ。しかし、ジュリオは涼しい顔だ。 「いやいやすまない、失礼したよ。ぼくはロマリアの神官、ジュリオ・チェザーレだ。以後お見知りおきを」 胸倉を掴まれながらも平然とした態度で謝罪し、一礼をするジュリオにジャンガも毒気が抜かれたか、 つまらなさそうに鼻を鳴らし、胸倉を掴む爪を放した。 「ありがとう。まぁ、色々と活躍しているとか…きみの噂は絶えないからね、一目会いたいと思っていたんだ。…おや? あなたは」 隣のルイズに気が付き、ジュリオはそれまでの表情を一変させ、満面の笑顔でルイズの手を取った。 「あなたがミス・ヴァリエール? 噂どおりの美しさだ」 そして、ぽかんと口を開けて佇むルイズのその手に、彼は優しく口付けた。 それを見て、ジャンガは”新たな気障ガキ”と言う印象を彼に密かに抱いた。 ルイズは満更でもないのか、されるがままだ。 そこへド・ポワチエが口を挟んできた。 「ミスタ・チェザーレ、報告は大隊隊長から受け取るものだが…、君が直接来た理由は何かね?」 ジュリオはルイズの手を離し、先程のような優雅な仕草でド・ポワチエを振り返る。 「いえ、ただの挨拶ですよ。噂の使い魔とその主人、どちらも興味がありましたのでね。 本当ならば着艦したその日に挨拶をしたかったのですが、何しろ連れが酷い船嫌いでしてね…。 慣れさせるのに精一杯で、挨拶が出来なかったのですよ。ですから、丁度いい機会だったというわけです」 ふむ、とド・ポワチエは特に何も感じさせない表情で髭を弄る。と、再び扉が開いた。 「おい…いつまで、この船…に居やがるんだ…? うっぷ…」 まさに死にかけ……そんな感じのする弱々しい声だった。…その声にジャンガは聞き覚えがあった。 扉の方へと目を向けると、声の主がヨロヨロとした足取りで入って来るところだった。 入って来たのは亜人(おそらく少年)だった。見た感じでは狼の様な感じがする。 金と黒のコントラストが光る毛並みをしており、赤いジャケットに黒いライダースーツ、 黒いブーツと白い手袋を身につけている。 背の高さはジュリオと同じ位、年も近いのかもしれない。 ルイズとタバサは声が出なかった。 ジュリオは亜人の少年を振り返り、柔らかな笑みを浮かべる。 「やぁ、すまない。少し話し込んでしまったよ。もう終わったから帰るとしよう」 「…つってもな、…結局は船…だろうが…、う、ううう…」 可也気分が悪くなってきたのか、彼は口を押さえながら膝を付いた。…今にでも戻しそうな感じだ。 「ええい、ここでやられてはたまらん! ミスタ・チェザーレ、君の連れならば責任を持って連れて帰りたまえ!」 流石にここでやられてはたまらないと感じたか、ド・ポワチエは苦々しい表情でジュリオに言った。 ジュリオは少しも表情を崩さずに一礼をする。 「解りました、それでは失礼させていただきます。立てるかい?」 「…なんとか、な…」 ジュリオに肩を貸してもらって、彼は何とか立ち上がった。 「相変わらず船は苦手か…、キキキ…そこはまだまだガキだねェ~?」 ジャンガがそんな事を言った。 亜人の少年の肩がピクリと動く。 ゆっくりと背後を振り返り……ジャンガと目が合った。 「て、テメェ…」 「キキキ…」 彼の両目は大きく見開かれ、驚愕の表情が浮かんだ。 「テメェ……ジャンガ!!?」 「こんなとこで会うたァな…。懐かしいじゃネェか…ガンツ坊や?」 亜人の少年=ガンツを見ながらジャンガはニヤニヤ笑いを浮かべた。 前ページ次ページ毒の爪の使い魔
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ボーパルサイス 名称 Lv 効果 備考 連携属性 ボーナス TP倍率 ボーパルサイス 150 TP クリティカルヒット確率修正。 - 貫通/切断 STR35% 1.00 動画(376KB) 音量に気をつけてください。 両手鎌スキル150で習得するウェポンスキル。両手剣のパワースラッシュと同じ貫通の性能を持ち合わせているので湾曲連携のトスとして使うのが、もっともポピュラー。 湾曲〆や核熱3段連携の初段にも使えるが、そこまでして利用する価値は無い。
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S-404 サイス 術 MP1 +2000 ダメージ1 バトル攻撃 相手の魔本にダメージ。 次の効果の片方か両方を、この術にあたえる。 ●追加でコストを1ふやせば、相手は、この術を防御できない。 ●追加でコストを1ふやせば、相手は、この術のダメージを「かばう」ことができない。 ティオ第2の術 サイスで仕留めて、ティオのパンツ取り戻しましょ... LEVEL 11 「ザケル」と比較しても攻撃力はひけを取らない。 追加効果を上手に生かそう。 S-254 ザケルガ同様に、追加コストによって防御とかばうを封じられる。 ダメージは1しか与えられないものの、「かばえないダメージ」は使いやすく、何度も使用すればページ差を作る事ができる。 合計コスト2で「かばえないダメージ」が出せるカードというのも中々に貴重で、MPに余裕さえあれば防御無効まで付けてダメージを稼ぐ事ができる。 最低のコスト1で使う事もできるため、MPが厳しくても使える可能性が残るという点でも頼もしい。 相手の魔物が負傷状態だらけでかばわれる可能性が低い、またはかばわれてもいいという状況であれば、追加コストを支払わずに使う機会もあるだろう。 ティオや大海恵にダメージを増加させる効果のカードは存在しないので、上乗せを図るのは難しい。 もし、ダメージを増やしたい場合はブラゴ《嘲笑》やアルム《負けんじゃねぇぞ》といった他の魔物、もしくはE-146 共闘等のイベントの力が必要。 ティオを使用する魔本で、他の魔物も攻撃手段が乏しい場合には、積極的な採用が視野に入るカードと言える。 一方、攻撃が得意な味方魔物がいるようなら、基本はそちらでの攻撃を優先したい。 収録パック LEVEL:11 真緋の新しき力 タグ:+2000 MP1 かばえない ダメージ1 ティオ バトル攻撃 術
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トップ→装備→剣→剣/生産→ヴィガンサイス ヴィガンサイス ATK:270~273 スロット:1確認 魔法剣 闇属性に半減 魔法貫通がINTとDEXで増加 攻撃時、確率で魔法攻撃 ★生産:鍛冶 Lv168 ┏鎌のような爪×15 ┃インジウム×1 ┃大きな鎌×5 ┗備水砥×2 【マクロミル】アンケート会員募集中!謝礼ポイント有